借地の地主がいつの間にか財務省になっていました💦

地主から土地を借りて建物を建てることを「借地」といいますが、ある時から、土地の所有者が国有地や公有地になっていることがあります。
つまり地主が財務省などになっていたというケースです。

これは、相続税などを支払う際に、元の地主が土地を国や都道府県、市町村に物納したため、地主は財務省になり国有地という扱いになったからです。

山林や農地のように売却しづらい土地を抱えている地主にとって、現金で納めるよりも物納のほうが都合がよいため、そうしたケースは珍しくはないのです。

そうした場合、これまでの土地賃借の契約内容はどのようになるのでしょうか……。

土地所有者が財務省になるメリットと注意する点

土地所有者が財務省や関東財務局などになると以下のようなメリットがあります。

  • 借地権の更新料がかからない
  • 地代の根拠が明確になる
  • 手続を踏めば底地を購入できる、または売却も可能

例えば関東近郊を管轄する関東財務局では、定期的に借地人に対し、底地売却を打診しています。
底地の価格は比較的、安価なため財務省から土地を借りている場合は、購入を検討してもいいでしょう。
また、財務省が底地を売却するのは借地人に限定されているので、第三者が購入することはありません。

一方、借地権を相続する場合、自宅を利用しなかったり、被相続人がおこなっていた業務を続ける予定がなかったりする場合には、賃料や維持管理費などのコストがかかるため、大きな負担になってしまうこともありるので注意が必要です。

国有地の借地権は売却できるの?

不要となった国有地の借地権は国に譲渡承諾料を支払えば借地権の譲渡が認められています。

一般の個人や法人が地主の場合、借地権を買取る可能性はありますが、財務省が地主の場合、借地権の買取はしません。
その背景にはそのまま貸し付けているほうが国にとっても都合がよいためです。

しかし、第三者へ売却するしかなく売却益の一部も承諾料として支払わなければいけないので、おすすめできる方法とはいえませんが…。

国有地の借地権は同時売却を検討しょう

同時売却とは借地権と底地権をセットにして売却する方法です。
同時売却は借地権単体の売却に比べて、メリットの大きい売却方法で、買い手もつきやすくなります。

底地権について|借地権相談所

同時売却のメリット

先ずは、一般の地主さんの場合、売却価格の按分についてお互いの言い分を妥協しながら交渉する必要があり、トラブルになるケースも少なくはありません。
しかし国有地の場合、路線価の借地権割合に基づく価格按分で決めるケースがほとんどで、スムーズに話しを進めることが可能です。

次に、同時売却とは、借地権(もしくは借地権付き建物)と底地(借地権が設定されている土地のこと)を同じタイミングで第三者に売却することですが、借地権と底地を単独で売却するのではなく、セットにすることで完全所有権の土地とした方が価値が大幅に上がるため、高額で売却しやすくなります。

以上今回は「借地の地主がいつの間にか財務省になっていた」場合について紹介してきました。

実際には平成18年度の税制改正により物納条件が厳しくなりそのため、土地所有者が財務省に代わるケースは減少してはいます。

しかしながら、古い借地物件もまだ多く残っているため、「借地の地主がいつの間にか財務省になっていた」というケースもあります。

借地契約はそのまま継続されますが、相続等で売却などを検討する際にはぜひ参考にしてみてください。